2015年の秋。突然「チリに一緒に行こう!」とマリアが言ったことから始まる。マリアにはチリと日本の血が流れている。幼い時一度チリへ行ったことはあるが、記憶はない。母が生まれ育った故郷を見てみたい、という思いはずっとあった。マリアとはネットで出会った。日々の生活に疲れ果てた私が、他人とつながりを持てる唯一の手段として選んだのがネットだったのだ。パソコンの前で友達を探して、偶然にもマリアとつながった。マリアとはたびたび連絡を取りあっていたが、二人きりで会うことはなかった。それでも二人の間には見えないつながりが生まれていた。私はマリアの「行こう」の言葉に即座に「いいよ」と答え、2016年9月に出発することになった。チリ、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンを巡った。これは、6カ月に及ぶマリアと私の南米旅行記である。
















































